では前回の続きです^^
と、いきたいところなのですが、
今回は、、、
突然なのですが、
6月1日より医療法が改正され
“虚偽又は誇大等の不適切な内容を禁止する広告規制”により、
術前・術後写真だけの掲載は規制対象となりました。
そのため、写真や治療の詳細だけでなく、
治療に伴うリスクや治療費用の明示が必要になります。
悪徳な美容クリニックなどを対象にした規制なのですが、
当然すべての医療機関が対象となりますので、
当ブログも上記について記載していこうと思います。
ブログ初回(→こちら)でお話したとおり、
元々当ブログは皆様に、
美容医療についての医療者と患者様の
情報・知識格差を少しでも無くすことを目的としているため、
とくに大きな影響があるわけではないのですが(^_^;)
とはいえ、毎回載せていくと読み手の方にも鬱陶しいと思いますので、
リスクについてまとめた当記事へのリンクを
を毎回作成するようにしようと思います。
【ヒアルロン酸注入のリスク】
これには軽症なものから重篤なものまであります。
すべてを載せていくと、膨大な量になりますし、
かえってわかりにくくなってしまうので、
軽微だけれども頻度の高いもの、
重篤なものに絞ってお伝えさせていただきます。
まず軽症ではありますが頻度の高いものとしては、
内出血(青あざ)、紅斑(赤み)、腫脹(腫れ)、疼痛(痛み)
などがあります。
100%避けることは難しい合併症ですが、
一週間前後で治まる可能性が高いです。
多くはないのですが、
起きてしまうと問題になりやすいものとしては、
硬結(しこり)
があります。
本来ヒアルロン酸というのは、注入後、
自身の分解酵素でゆっくりと分解されていくのですが、
まれに、ヒアルロン酸を膜が覆ってしまい(線維化といいます)、
分解酵素が作用することができず、ずっとそこに残ってしまいます。
これに対しては、
ヒアルロン酸分解注射というものがありますので、
それをしこりの部分に注入することで、
改善が見込める可能性が高いです。
そして、もっとも重篤な合併症は、
ヒアルロン酸による血管閉塞、塞栓
です。
難しい表現をしていますが、簡単に言うと、
ヒアルロン酸が血管に詰まってしまうことです。
顔には下記のように様々な動脈が走行しています。
動脈の働きは、各組織に酸素や栄養を与えることです。
それがなければ、買ってきたお肉が腐るように、
詰まったその先の組織は死んでしまいます(壊死といいます)。
閉塞などの合併症を疑った場合は、
すぐにヒアルロン酸分解注射を打ちます。
症状としては、ほとんどが、一時的に炎症を起こした後、
色素沈着となり改善(3~6ヶ月程度)します。
ただし、極稀ではありますが、重篤な場合、
失明や鼻先などの欠損が起きたという報告もあります。
明確なデータはありませんが、
血管閉塞自体を起こす確率は
数千分の1程度の確率ではないかと言われています。
その他、極稀に感染症やアレルギーをおこすなど、
細かな合併症は色々と報告されていはいますが、
特にお伝えしておきたい合併症は以上です。
【ボトックス注入のリスク】
ボトックスのリスクは比較的少ないのですが、
ヒアルロン酸と同様に、針を刺すことによる
内出血(青あざ)、紅斑(赤み)、腫脹(腫れ)、疼痛(痛み)
は、起こりうる合併症です。
以前ブログでもご紹介しましたが、
ボトックスを打つと、
これまで使えていた筋肉が強制的に使えなくなるので、
違和感(頭痛、腫れぼったい、重たい、額に板が張り付いたような感じ)
が出ることがあります。
ほとんどが1週間から1ヶ月のうちに治まります。
その他、
眉毛の挙上や(→こちらのブログをご参考ください)
目尻への注入で笑いジワがなくなることで、
表情がきつかったり硬い印象になることもあります。
また、
妊婦又は妊娠している可能性のある方、及び授乳婦、
(赤ちゃんへの安全性が証明されていないためです)
全身性の神経と筋肉の接合部の障害を持つ方
は“禁忌”(投与してはいけない)
となっています。
重篤な合併症の報告もありますが、
それらはほとんど極稀なものであったり
過量に打ちすぎた場合に起こるものです。
その他、極稀に感染症やアレルギーをおこすなど、
細かな合併症は色々と報告されていはいますが、
特にお伝えしておきたい合併症は以上です。
ただしボトックスに関しては、
ほとんどの合併症や違和感は、
効果が切れるとともに消失しますので、
非常にリスクが低いと考えることもできる
のではないかと私は思います。
大切なのは、
施術を受けられる患者様が、
効果、リスク、料金をきちんと把握でき、
それらを判断材料としてご納得いただいた上で
施術を受けていただくことだと思います。
まだまだ美容クリニックにいい印象を
持ってない方は多くいらっしゃると思います。
強引な勧誘や、
大げさな効果を謳うクリニックが少しでも減り、
患者様がどのクリニックであっても安心して
通うことができるようになることを願っています。
院長 土亀未知